破産に至る経緯
注文住宅の設計・建築を行う会社からのご相談でした。
顧客の要望を反映させるあまり利益がほぼ残らず、また、受注自体も先細りとなっているため、今後、借入れ等の返済を行っていくことは困難である、との内容でした。
会社は社長が一人で切り盛りしていたため、今後の劇的な受注増は見込めないものと判断し、会社及び運転資金の連帯保証人となっていた社長の破産手続申立事件として受任しました。
破産申立てまでの経過
債権者は銀行を中心に10社程度であり、債務総額は4000万円程度でした。
債権調査と並行して本社兼自宅の賃貸物件の明渡しを行い、展示会等で使用していたのぼり等の備品を処分しました。
個人の財産として現在賃貸に出しているマンション(残ローンあり)がありましたが、その処理は破産管財人に任せることとして、必要書類がそろった段階で裁判所に会社・個人の破産手続申立てを行いました。
本事例の結末
会社にはそれなりの運転資金が残存しており、また、個人所有のマンションが予想外に高く売却されたため、会社・個人のいずれも配当手続となりました。
会社・個人ともに債務総額の10%程度の配当となり、破産手続は終了となりました。
個人の免責手続について免責不許可事由は存在しないとの管財人意見が提出され、それに従い、免責許可決定が下されました。
本事例に学ぶこと
今回は会社に多少余力がある状態でご相談をいただいたケースでしたので、破産手続費用(弁護士費用、管財人に引き継ぐ予納金等)の準備がスムーズに進みました。
ぎりぎりまで判断を先延ばしにした場合、手続費用が用意できず、会社を法的に整理することができないという場合もありますので、その点についてはご注意ください。