2023/09/29

「ジャパンアズナンバーワン」。知日派の経済学者、エズラ・ヴォーゲル氏が1979年に出版した書籍のタイトルです。
その後日本は、文字通り世界一になったと錯覚してバブル経済に向かって突き進んだものの、バブル景気ははじけ、その後、長期にわたる停滞期、いわゆる「失われた〇年」に入りました。
この「失われた〇年」における日本の状況、すなわち、低インフレ、低金利、低成長などを、「日本化」ということが多いようです。

最近、中国経済の失速や中国の不動産開発会社の経営不振がニューストピックに上がり、それと並行して、中国の「日本化」が論じられています。
中国の「日本化」を論じる論考は、現在の中国の経済状況が、バブル経済とその崩壊期の日本の経済状況に類似していることなどを挙げています。
そうした中で、「バブル経済後の「失われた〇年」にあっても日本は(わずかではあるが)成長を続けていた」と言った見解や、デカップリングの進行(グローバル経済の終焉)を理由に「中国は『日本化』すらできない」と言った見解も見られるようになってきました。

この文脈での「日本化」は、
・バブル崩壊後の日本は、経済は低迷していた。
・しかし、低迷するなかでも一定程度の低成長は実現できていた。
・成長の理由は、グローバル経済の進展であり、経済成長していた中国との取引の増大の影響も大きい
ということを含んでいるように思います。
そうすると、今後、仮に中国経済が失速し、「日本化」=低成長すら実現できない場合には、中国経済の失速度合いは大きく、従って、世界経済に与える影響は非常に大きいと言わざるを得ないと考えられます。

中国との取引はもとより、世界との取引無くして経済が成立しない日本で会社経営をしていく際には、中国が「日本化」するかどうかも含め、世界情勢を見据えていくことが必要です。


■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 野田 泰彦
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