紛争の内容
さいたま地方裁判所から、美容関係の法人破産とその代表者の個人破産申立てについて、破産管財人として選任されました。
昨今のコロナ禍による影響を受け、ビジネスモデルとして成り立たなくなり、破産を決断されての申立てでした。
交渉・調停・訴訟等の経過
早速、裁判所の破産手続開始決定により、管財人業務は開始します。
まずは、速やかに処理すべきことを、破産申立書や破産管財人面接により確認します。
その上で、法人破産の場合には、法人格が消滅しますので、その前に、預貯金の解約等を進めます。
個人・法人とも、郵便物はすべて破産管財人に転送されますので、それらの郵便物に財産等に繋がる情報がないかを確認することも進めます。
一方代表者個人は、法人が借り入れている債務の連帯保証が大半を占めておりましたので、法人の破産に至る経緯を中心に
確認を進めました。
個人については、自由財産拡張(破産しても一定額を手元に残せるようにすること)の判断を行いました。
今回の法人破産では、最近増えているビットコイン等の仮想通貨の取引が見受けられ、残されている残金はほとんどなかったものの、これを換金するための手数料の方が残金を上回ることなども分かり、最終的には破産財団からの放棄という選択をするなどもしました。
破産手続開始決定から債権者集会(裁判所で行われる管財人の報告)までの間に約3ヶ月ありましたが、破産管財人業務は、第一回の債権者集会までに終了しました。
本事例の結末
裁判所に対し、破産管財人が管財業務を報告します。
財産目録及び収支計算書を提出し、管財人業務により処理した内容を端的に報告します。
破産手続は、法人と個人とで別々に進みます。
まずは法人の手続は、異時廃止となり、終了です。
次に個人の手続は、異時廃止となり、免責審尋を経て、終了です。
本事例に学ぶこと
法人破産は、個人とは異なり、免責審尋を経て免責許可決定を受ける(借金の返済が免責される)という手続はなく、破産手続の廃止により終了します。個人の場合と異なり、経済的な再建という側面がありません。法人が現に営業等をしている場合もあれば、事実上廃業の場合もありますが、債務が残っている場合には、債権者に迷惑をかけることになりますので、できるだけ早めに動く必要があります。
弁護士時田剛志