2023/12/19

報道や民間調査会社のレポートによると、脱毛サロンの倒産が増加しているということです。

脱毛サロンの利用者は、消費者、特に若年層が多いと考えられます。

この点、こうした利用者の方々が利用料を支払い済みの場合には、破産法上の債権者となります。

仮に、脱毛サロンが破産手続を申立て、手続が進んでいった場合、利用料を支払い済みの方々は返金を受けることができるのでしょうか。

破産手続の返金=配当は、破産法で順序が規定されています。

最優先は、財団債権といいます。ここには、管財人報酬や管財業務を行うための費用のほか、一部の公租公課、一部の労働者給与が含まれます。

次が、優先債権といいます。ここには、公租公課の一部、労働者給与の一部など含まれます。

その次が一般破産債権となり、銀行からの借入れや取引先への支払債務が典型となります。今回の、利用者の方々の支払済み利用料の返還請求権は、この一般破産債権に該当する可能性が高いと考えられます。

最後が、劣後的破産債権といい、破産手続開始決定後の遅延損害金や公租公課の一部などが含まれます。

残念ながら、多くの破産事件では、一般破産債権の配当迄行くことは少なく、配当があったとしても配当率は高くないことが多いと思われます。

脱毛サロンが倒産する場合には若年層の消費者が被る損害もあると思いますので、利用者は、利用料の支払いの仕方を検討する必要があると考えられます。

それとともに、利用料について業界での取り組みが求められる他、そもそも、若年層をターゲットにした脱毛や美容整形の広告のあり方も再考する必要があると考えられます。


■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 野田 泰彦
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