紛争の内容
工事会社の破産事件です。令和2年のコロナ禍の影響を受けて、工事の受注が減少し、売り上げが半減して、借り入れをしていた運転資金の返済が困難となり、会社の経営が悪化しました。また、道路工事の事故が発生し、大手ゼネコンの企業活動が停滞したため、工事の受注が減少することとなり、さらに経営状態が悪化しました。その結果、この会社は破産の申立てを行いました。

交渉・調停・訴訟等の経過
破産者代表者との面談、及び、代表者が持参した資料を確認しましたところ、会社の財産が外部に流出したということは確認されませんでした。また、会社宛ての郵便物を確認し、申立書に添付される財産目録に記載される財産以外の財産が存在しないことを確認しました。

本事例の結末
結果として、財産を換価して、債権者への弁済に充てられる程度の現金を用意することはできず、債権者の弁済を行わないまま、会社の破産手続は終了しました。

本事例に学ぶこと
破産者代表者との面談、代表者が持参する資料、破産申立書、及び、申立書添付の資料を確認して、債権者の返済に充てられそうな財産が存在しないかを調査する方法を学びました。会社が、破産者への返済に充てられるだけの財産を残すことができずに破産をするということは良くありますが、果たして本当にそうであるのかということを調査するのが破産管財人の業務ですので、今回の事例ではこのような調査を行いました。

弁護士 村本拓哉