不動産業とは

不動産業とは

総務省統計の定義によれば、不動産業とは、「主として不動産の売買,交換,賃貸,管理又は不動産の売買,貸借, 交換の代理若しくは仲介を行う事業所が分類される。 主として自動車の駐車のための場所を賃貸する事業所も本分類に含まれる。」とされています。

そして、不動産業の中には、

・不動産取引業
 →不動産の売買、交換または不動産の売買・賃借・交換の代理もしくは仲介を行う事業

・不動産賃貸業、不動産管理業
 →不動産の賃貸又は管理を行う事業

が次位での分類として定められています。             

宅地建物取引業との違い

しばしば、不動産業=宅地建物取引業と思われることがありますが、実際は異なります。

宅地建物取引業は、宅地建物取引業法という法律第2条第2号で定義が定められており、

「宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行うものをいう。」とされています。

 したがって、不動産取引業に非常に近い概念と言えます。

不動産取引業の破産手続の特徴・注意点

①関与している案件の把握

不動産取引業の場合、自社が取引当事者の場合もありますが、他人間の取引への関与が非常に多くあります。

従って、交渉中や関与を持っている取引の把握・リストアップが必須です。

②保有不動産の把握

自社が取引当事者の場合、土地・建物・区分所有権、場合によっては所有権のうちの持分権を、自社で保有していることがあります。

こうした不動産は、破産財団を構成し、換価の対象となります。

これらを把握し、申立てに際しては管財人に適切に情報・資料を引き継ぐ必要がありますし、管財人としては、これらを適切に管理・換価し、配当原資を増やしていくことが必要になります。

③宅地建物取引業の営業保証金の取戻手続

不動産取引業者が宅地建物取引業者でもある場合、宅地建物取引業を開業する際に営業保証金を供託するか、営業保証金分担金を保証協会に納付する必要があります。

これらも、破産財団を構成し、換価の対象となりますので、取戻し手続が必要になります。

なお、取戻し迄は、公告など一定の手続と期間が必要になりますので、速やかに着手することが必要になります。

④宅建業の廃業届

廃業の事由の生じた日から30日以内に廃業等届出書を提出する必要があります。

⑤宅地建物取引士の変更手続き

宅地建物取引士が従業員として勤務していた不動産業者が破産した場合、勤務先の変更を届出する必要があります。

宅建業を営んでいた宅地建物取引士自身が破産する場合には、破産手続開始決定日から30日以内に、宅地建物取引士登録上の都道府県に届出なければなりません(宅地建物取引業法第21条)。

不動産賃貸・管理業の破産手続の特徴・注意点

①関与している案件・物件の把握

不動産賃貸・管理業の場合、多数の物件に関与しています。

従って、関与している案件・物件の把握・リストアップが必須です。

②賃料請求・管理

不動産賃貸・管理業、いずれの場合も、賃料の請求・管理が必要になります。

③敷金精算の準備

原状回復費用の算出、未払賃料の計算のうえ、敷金返還の精算が必要になります。

申立て段階で処理できる場合には処理をしたうえで破産手続を申し立てすることもありますし、管財人に引き継ぐ場合には、資料をそろえ、適切に引き継ぐようにします。

④引き継ぎ先の検討

不動産賃貸業の場合、事業停止や破産手続開始の後、永続的に賃貸を継続することはできず、どこかの段階で引き継ぎ先に事業を引き継ぐ必要があります。

物件ごとなのか、事業全体なのかは、事案によって異なります。

また、申立て段階で引継を行うこともあるでしょうし、開始決定後、破産管財人が行う場合もあるでしょう。

 但し、賃貸人は修繕義務を負っているため、万全を期すためには保険の加入が必要になります。

不動産管理業の場合も同様で、永続的に管理を継続することはできず、どこかの段階で引き継ぎ先に事業を引き継ぐ必要があります。

管理業の場合は、従業員を利用して管理業務を履行することもあるでしょうし、それに伴うリスクに備えるためには保険の継続なども必要になります。従って、できるだけ早い時期の引継ぎが必要なことが多いと思われます。

不動産取引業、不動産賃貸・管理業に共通する破産手続の特徴・注意点

①労働者の把握、解雇手続き

従業員を雇用して事業をしている場合には、その一人一人に対して、解雇の手続をすることが必要になります。

②解雇に伴う諸手続き

解雇に伴い、次の各手続きをしなければいけません。

ア 雇用保険(失業保険)

   雇用保険被保険者離職証明書と雇用保険被保険者資格喪失届を、解雇翌日から10日以内に、公共職業安定所(ハローワーク)に提出し、ハローワークから離職票の交付を受け、離職票を従業員の皆様に交付することが必要になります。

イ 健康保険

   派遣労働者(従業員)から保険証を回収し、退職の日の翌日から5日以内に、保険証とともに健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届を年金事務所に提出することが必要になります。

 ウ 源泉徴収票の交付

   派遣労働者(従業員)が今後、確定申告や再就職先で年末調整をする場合に、会社の源泉徴収票が必要となるので、これを作成し、派遣労働者に配布することが必要になります。

エ 住民税について

   派遣労働者(従業員)について、特別徴収(給与から天引きし、会社から従業員の皆様の住所地の各市区町村に納付する方法)から、普通徴収(派遣労働者自身が市区町村に直接納付する方法)に切り替得る必要があることから、各市区町村で給与所得者異動届の手続きを行うことが必要になります。

法人破産の流れ

1 ご相談

会社の社長などにご来所いただき、弁護士が、会社の経営状態、資産・負債の内容をお聞きするとともに、どのような手続を取るのがよいのかのアドバイスを行います。

2 お打ち合わせ①

必要書類・資料をお持ちいただき、弁護士、法務スタッフが、社長、経理担当者の方などと詳しい打合せを行います。また、裁判所に提出する委任状、当事務所にご依頼いただく場合の委任契約書を作成します。

資料の例:貸借対照表・損益計算書、資産目録、債権者・債務者一覧表、不動産登記簿謄本、賃貸借契約書、預貯金通帳、法人印鑑・ゴム印など

3 現地の調査・従業員に対する説明

・現地調査

本社、営業所、工場などに出向き、現地の状況を調査するとともに、場合によっては弁護士が受任した旨の公示書を貼ります。

・従業員への説明

従業員に対して、破産申立てに至った理由を説明し、在庫などの資産や帳簿類の保全への協力、破産管財人への協力を要請します。

給与、健康保険の切り替え、年金の処理、失業保険受給のための離職票の発行などについても、きちんと説明します。

4 受任通知の発送

以後は、弁護士が債権者との対応をすることになります。

5 お打ち合わせ②

ご依頼を受けた後、弁護士が裁判所に提出する破産申立書を作成しますが、その中で出てきた不明点の聞き取り、不足・不十分な書類の補充などのための打合せを行います。

6 賃貸物件の明け渡し

賃借物件がある場合、状況によって破産開始決定前に明渡しを行います。

7 裁判所に対する破産申立書の提出

裁判所に対して、破産申立書を提出します。

※ なお、上記3~6を行わず、事前に裁判所と相談したうえで、申立書を裁判所に提出する場合もあります(密行型)。

  上記3~6を行うのは、オープン型と言って、すでに支払いが滞納していたり、債権者が来ていたりする等の場合です。

また、当然、事案に応じて、上記3~6やそのほかの対応を、上記の順序と異なる順序で行うこともあります。

8 裁判官との面接

会社の社長、経理担当者などと弁護士が裁判所に行き、破産に至った経過、資産・負債の状況、従業員、債権者、賃借物件の状況、その他の問題点について、裁判官から質問を受けます。

この時に、裁判所に納める予納金の額も決定されます。

※開始前の面接が行われない場合もあります。

9 破産開始決定

破産開始決定がされ、破産管財人が選任されます(裁判所が選任した弁護士が破産管財人になります)。

10 破産管財人との面接

会社の社長、経理担当者などと弁護士が、破産管財人の法律事務所に行き、破産管財人から質問を受けます。

11 資産の処分・配当

破産管財人のもとで、会社の資産の換価、売掛金の回収が行われ、これを債権者に配当します。会社が、一部の債権者に不公平な弁済を行っている場合は、破産管財人がこれを取り戻します。

12 債権者集会

裁判所で債権者集会が行われ、破産管財人が、破産に至った経過、資産・負債の状況、配当の状況などを説明します。ただ、出席して説明を聞いてもあまり意味がないと考える債権者の方が多く、債権者は出席しないか、数名の出席の場合が多い印象です。

配当が終了していない場合は、さらに債権者集会が開かれる場合もあります。

配当するほどの財産がない場合、配当をしないで破産手続が終結することがあります。

13 破産終結決定

これによって、破産手続きは終了し、会社は解散となります。

※ 破産申立書を提出してから、破産終結決定までにかかる時間は、不動産の処分や売掛金の回収にかかる時間、不公平な弁済の有無、配当の有無などによって異なりますが、一般的には6ヶ月~2年程度です。

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の特徴

開設以来、数多くの法人破産申立・破産管財事件・代表者破産に対応してきた弁護士法人グリーンリーフ法律事務所には、破産手続に精通した弁護士が数多く在籍し、また、法人破産専門チームも設置しています。

このように、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所・法人破産専門チームの弁護士は、破産手続や代表者保証に関する法律相談を日々研究しておりますので、法人破産や代表者の債務整理に関して、自信を持って対応できます。

法人についてお悩みの経営者・代表者の方は、ぜひ、当事務所にご相談ください。

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、多数の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。
社の破産においても、専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。
危機時期にも適切なアドバイスができるかと存じますので、まずは、一度お気軽にご相談ください。