飲食サービス業

はじめに

新型コロナウイルス感染拡大(コロナ禍)により、最も打撃を受けた業種と言っても過言ではないでしょう。利用客が感染を恐れて飲食サービスの提供を避け、飲食サービス提供側が営業自粛や時短営業に追い込まれたのは記憶に新しいものかと思います。

そのため、飲食サービス業は、コロナ禍によって業績が悪化し、そこから中々元に戻ることができなかったり、コロナ禍に受けた融資の返済がその後滞ってしまったりなどの理由で、債務超過に至ってしまうケースが散見されます。

そこで以下、飲食サービス業における法人破産手続上の問題点について解説していきます。

飲食サービス業特有の問題点

飲食サービス業の法人が破産手続をとる際の初動で問題となるのは、主に以下の点です。

在庫商品(特に食材や食品)の処分

飲食サービス業では、その業種上、食材や食品などの在庫商品があると思われます。

他の業種の在庫商品と違って、保存・保管方法に難があったり期限があったりします。

そのため、早期に換価処分(お金に換えること)や廃棄処分が必要な場合があります。

しかし、破産手続直前に自分で勝手に処分することは、後々問題となり得ますので、予め弁護士にきちんと相談すべきです。

廃業後のクレジットカード利用代金

利用者が、飲食代金をクレジットカードで決済していたという場合、会社が廃業した後に、その利用代金が会社側に入金されるという場合があります。

これも複雑な問題となるため、弁護士に相談したいところです。

店舗の明け渡し

店舗が賃貸物件の場合、これをどのように明け渡すかというのも重要なポイントです。

賃貸人との交渉が必要となるほか、飲食サービス業の場合、居抜きですと比較的早期に次の借主が見つかるという場合もありますので、早めに弁護士へ相談すると良いでしょう。

店舗の鍵

上記店舗の明け渡しにも関連することなのですが、店舗の鍵は、代表者だけでなく、店長や従業員が持っていることもあります。(中には、仕入れ業者にも鍵を預託している場合があり得ます)

この店舗の鍵をきちんと全て回収しておかないと、破産手続中に、第三者が勝手に店舗内に入り会社の財産を持っていってしまう・・・などという事態にもなりかねないので、注意が必要です。

フランチャイズ契約に基づく商標使用

フランチャイズにより飲食サービス業を行っていた場合、事業をやめた後もフランチャイズ本部の商標を意図せず使用してしまうという場合もあります。

この場合、本部から撤去工事費用などが請求されることがあります。

そのため、知らず知らずのうちに商標使用していないかも、よく注意して確認したいところです。

事業継続の可能性

破産申立て前に事業譲渡を行い、事業を継続させるという方法もあります。

ただ、その場合には、当然ですがまずスポンサー(事業の引受先)が必要です。

その上で、飲食サービス業では食材等の仕入先がなければ事業の継続は不可能ですから、そのような仕入先の協力・確保も不可欠となります。

さらに、厨房のスタッフやホールスタッフなども飲食サービス業では必要不可欠な存在ですから、そのような人材の確保、理解も必要となってきます。

さいごに

以上のとおり、飲食サービス業においては、その特有の問題が数多くあり、どれも比較的早期に対応しなければならない事柄ばかりです。

そのため、飲食サービス業で会社整理(破産手続)をお考えの場合には、早めに弁護士へ相談することをお勧めします。

法人破産の流れ

1 ご相談

会社の社長などにご来所いただき、弁護士が、会社の経営状態、資産・負債の内容をお聞きするとともに、どのような手続を取るのがよいのかのアドバイスを行います。

2 お打ち合わせ①

必要書類・資料をお持ちいただき、弁護士、法務スタッフが、社長、経理担当者の方などと詳しい打合せを行います。また、裁判所に提出する委任状、当事務所にご依頼いただく場合の委任契約書を作成します。

資料の例:貸借対照表・損益計算書、資産目録、債権者・債務者一覧表、不動産登記簿謄本、賃貸借契約書、預貯金通帳、法人印鑑・ゴム印など

3 現地の調査・従業員に対する説明

・現地調査

本社、営業所、工場などに出向き、現地の状況を調査するとともに、場合によっては弁護士が受任した旨の公示書を貼ります。

・従業員への説明

従業員に対して、破産申立てに至った理由を説明し、在庫などの資産や帳簿類の保全への協力、破産管財人への協力を要請します。

給与、健康保険の切り替え、年金の処理、失業保険受給のための離職票の発行などについても、きちんと説明します。

4 受任通知の発送

以後は、弁護士が債権者との対応をすることになります。

5 お打ち合わせ②

ご依頼を受けた後、弁護士が裁判所に提出する破産申立書を作成しますが、その中で出てきた不明点の聞き取り、不足・不十分な書類の補充などのための打合せを行います。

6 賃貸物件の明け渡し

賃借物件がある場合、状況によって破産開始決定前に明渡しを行います。

7 裁判所に対する破産申立書の提出

裁判所に対して、破産申立書を提出します。

※ なお、上記3~6を行わず、事前に裁判所と相談したうえで、申立書を裁判所に提出する場合もあります(密行型)。

  上記3~6を行うのは、オープン型と言って、すでに支払いが滞納していたり、債権者が来ていたりする等の場合です。

また、当然、事案に応じて、上記3~6やそのほかの対応を、上記の順序と異なる順序で行うこともあります。

8 裁判官との面接

会社の社長、経理担当者などと弁護士が裁判所に行き、破産に至った経過、資産・負債の状況、従業員、債権者、賃借物件の状況、その他の問題点について、裁判官から質問を受けます。

この時に、裁判所に納める予納金の額も決定されます。

※開始前の面接が行われない場合もあります。

9 破産開始決定

破産開始決定がされ、破産管財人が選任されます(裁判所が選任した弁護士が破産管財人になります)。

10 破産管財人との面接

会社の社長、経理担当者などと弁護士が、破産管財人の法律事務所に行き、破産管財人から質問を受けます。

11 資産の処分・配当

破産管財人のもとで、会社の資産の換価、売掛金の回収が行われ、これを債権者に配当します。会社が、一部の債権者に不公平な弁済を行っている場合は、破産管財人がこれを取り戻します。

12 債権者集会

裁判所で債権者集会が行われ、破産管財人が、破産に至った経過、資産・負債の状況、配当の状況などを説明します。ただ、出席して説明を聞いてもあまり意味がないと考える債権者の方が多く、債権者は出席しないか、数名の出席の場合が多い印象です。

配当が終了していない場合は、さらに債権者集会が開かれる場合もあります。

配当するほどの財産がない場合、配当をしないで破産手続が終結することがあります。

13 破産終結決定

これによって、破産手続きは終了し、会社は解散となります。

※ 破産申立書を提出してから、破産終結決定までにかかる時間は、不動産の処分や売掛金の回収にかかる時間、不公平な弁済の有無、配当の有無などによって異なりますが、一般的には6ヶ月~2年程度です。

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の特徴

開設以来、数多くの法人破産申立・破産管財事件・代表者破産に対応してきた弁護士法人グリーンリーフ法律事務所には、破産手続に精通した弁護士が数多く在籍し、また、法人破産専門チームも設置しています。

このように、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所・法人破産専門チームの弁護士は、破産手続や代表者保証に関する法律相談を日々研究しておりますので、法人破産や代表者の債務整理に関して、自信を持って対応できます。

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弁護士法人グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、多数の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。
社の破産においても、専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。
危機時期にも適切なアドバイスができるかと存じますので、まずは、一度お気軽にご相談ください。