紛争の内容
A社は、10年以上運送業をしていた会社でしたが、コロナをきっかけに仕事量が減ってしまい、その後も売り上げが安定せず、借入金の返済ができなくなったことから、法人破産及び代表者個人の破産について相談、弊所にご依頼いただきました。

交渉・調停・訴訟等の経過
ご依頼をいただいた時点で、従業員関係・事務所の明渡し・運送車両の返還等の対応は済ませていらっしゃったので、申立のために必要な書類を整えた後、速やかに破産の申立てを行いました。
破産開始決定がなされた後、裁判所から選任された管財人は、代表者が保有していたある物品を自由財産として認めず換価対象として引き揚げる意向である旨の主張をしました。
代表者にとって、その物品は次の仕事をする上で必要不可欠であり「何とか自由財産として確保したい」という要望がありました。
当方は代表者の要望を叶えるべく、代表者がその物品を用いて仕事をしていることを証明する資料を提出しつつ自由財産として認めてもらうよう努めました。

本事例の結末
当方の主張が認められ、管財人及び裁判所から、当該物品を自由財産として保有して構わないという許可が出され、代表者の要望が叶いました。
その後、無事A社及び代表者について破産の免責決定を受けることができました。

本事例に学ぶこと
通常、法人破産の申立てを行う場合、管財事件(破産者の財産の管理処分・債権者への配当業務等を行う管財人が選任される事件をいいます。)となり、管財予納金が数十万円~数百万円になるケースがございます。
もっとも、本件の場合、管財人としてやることがほとんどない状態で申立てをした結果、管財予納金を、法人・個人合わせて25万円に抑えることができました。
会社の経営者にとって会社をたたむことは苦渋の決断であり、取引先のことを考えてしまい破産の決断ができない方も少なからずいらっしゃるかと思います。
また、法人破産は、事前の準備が特に大事であります。法人破産についてお悩みの方は一度弊所にご相談ください。

弁護士 田中 智美
弁護士 安田 伸一朗