
クリーニング業とは
クリーニング業とは、「溶剤又は洗剤を使用して、衣類その他の繊維製品又は皮革製品を原型のまま洗たくすること(繊維製品を使用させるために貸与し、その使用済み後はこれを回収して洗たくし、さらにこれを貸与することを繰り返して行なうことを含む。)」を業とすることを言います。
このクリーニング業は、「クリーニング業法」という法律で規定されており、同法第二条に、定義規定が置かれています。
(定義) 第二条 この法律で「クリーニング業」とは、溶剤又は洗剤を使用して、衣類その他の繊維製品又は皮革製品を原型のまま洗たくすること(繊維製品を使用させるために貸与し、その使用済み後はこれを回収して洗たくし、さらにこれを貸与することを繰り返して行なうことを含む。)を営業とすることをいう。 2 この法律で「営業者」とはクリーニング業を営む者(洗たくをしないで洗たく物の受取及び引渡しをすることを営業とする者を含む。)をいう。 3 この法律で「クリーニング師」とは、第六条に規定する免許を受けた者をいう。 4 この法律で「クリーニング所」とは、洗たく物の処理又は受取及び引渡しのための営業者の施設をいう。
クリーニング業の破産手続の特徴・注意点

①土壌汚染の可能性の検討
クリーニング工場では、溶剤又は洗剤を使用して、衣類その他の繊維製品又は皮革製品を洗たくしています。
そのため、工場の敷地土壌中に溶剤・洗剤が浸透している可能性があります。
水質汚濁防止法、土壌汚染対策法に定める施設として届出されていないかを検討し、行政機関と協議したり、調査や報告をしたりする義務が生じる可能性があります。
また、土壌汚染が判明した場合には、売却価格に影響が出たり、明け渡しの際に除染費用が生じたりする可能性がありますので、資料とともに、裁判所や管財人への報告が必要になります。
②従業員・労働者の把握
解雇に伴う諸手続きをしたり、後述の通り預かり品の返却に協力を求める必要があることから、従業員・労働者の把握をしておくことが必要になります。
③解雇に伴う諸手続き

解雇に伴い、次の各手続きをしなければいけません。
ア 雇用保険(失業保険)
雇用保険被保険者離職証明書と雇用保険被保険者資格喪失届を、解雇翌日から10日以内に、公共職業安定所(ハローワーク)に提出し、ハローワークから離職票の交付を受け、離職票を従業員の皆様に交付することが必要になります。
イ 健康保険
従業員から保険証を回収し、退職の日の翌日から5日以内に、保険証とともに健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届を年金事務所に提出することが必要になります。
ウ 源泉徴収票の交付
従業員が今後、確定申告や再就職先で年末調整をする場合に、会社の源泉徴収票が必要となるので、これを作成し、派遣労働者に配布することが必要になります。
エ 住民税について
従業員について、特別徴収(給与から天引きし、会社から従業員の皆様の住所地の各市区町村に納付する方法)から、普通徴収(派遣労働者自身が市区町村に直接納付する方法)に切り替得る必要があることから、各市区町村で給与所得者異動届の手続きを行うことが必要になります。
④預かり品の把握と返還
クリーニング業では、多数の衣類などを顧客から預かり、それを洗濯して返却するという流れを繰り返しますので、営業中に事業を停止した場合には、預かり品が発生しますし、工場に洗濯中の預かり品も発生します。
従いまして、まずは預かり品をきちんと台帳や伝票などをもとに把握することが必要になります。
また、預かり品や工場から戻ってくるものについては、順次顧客に返却する必要があります。
そのため、問い合わせ・返却の対応をしてもらうために、一時的に元従業員に業務を委託するなどの対応が必要になる場合があります。
⑤クリーニング所廃止の届出
事業譲渡せず、クリーニング所もしくはクリーニング所を開設しないで洗濯物の受取及び引渡しをすることを営業としている場合の営業を廃止する場合には、都道府県知事への届出が必要です。
(営業者の届出) 第五条 クリーニング所を開設しようとする者は、厚生労働省令の定めるところにより、クリーニング所の位置、構造設備及び従事者数並びにクリーニング師の氏名その他必要な事項をあらかじめ都道府県知事に届け出なければならない。 2 クリーニング所を開設しないで洗濯物の受取及び引渡しをすることを営業としようとする者は、厚生労働省令の定めるところにより、営業方法、従事者数その他必要な事項をあらかじめ都道府県知事に届け出なければならない。 3 前二項の規定により届け出た事項に変更を生じたとき、又はクリーニング所若しくは前項の営業を廃止したときは、営業者は、厚生労働省令の定めるところにより、速やかに都道府県知事に届け出なければならない。
⑥機械設備等の保全
一般に、クリーニング業で用いる機械は大型のものが多いですから、施錠をするなどし
ておけば盗難に遭う可能性は低いと考えられます。
ですが、移動できる機械・設備や、リース品などもありますので、これらが盗難・紛失とならないよう、保全しておくことが必要になります。
法人破産の流れ

1 ご相談
会社の社長などにご来所いただき、弁護士が、会社の経営状態、資産・負債の内容をお聞きするとともに、どのような手続を取るのがよいのかのアドバイスを行います。
2 お打ち合わせ①
必要書類・資料をお持ちいただき、弁護士、法務スタッフが、社長、経理担当者の方などと詳しい打合せを行います。また、裁判所に提出する委任状、当事務所にご依頼いただく場合の委任契約書を作成します。
資料の例:貸借対照表・損益計算書、資産目録、債権者・債務者一覧表、不動産登記簿謄本、賃貸借契約書、預貯金通帳、法人印鑑・ゴム印など
3 現地の調査・従業員に対する説明
・現地調査
本社、営業所、工場などに出向き、現地の状況を調査するとともに、場合によっては弁護士が受任した旨の公示書を貼ります。
・従業員への説明
従業員に対して、破産申立てに至った理由を説明し、在庫などの資産や帳簿類の保全への協力、破産管財人への協力を要請します。
給与、健康保険の切り替え、年金の処理、失業保険受給のための離職票の発行などについても、きちんと説明します。
4 受任通知の発送
以後は、弁護士が債権者との対応をすることになります。
5 お打ち合わせ②
ご依頼を受けた後、弁護士が裁判所に提出する破産申立書を作成しますが、その中で出てきた不明点の聞き取り、不足・不十分な書類の補充などのための打合せを行います。
6 賃貸物件の明け渡し
賃借物件がある場合、状況によって破産開始決定前に明渡しを行います。
7 裁判所に対する破産申立書の提出
裁判所に対して、破産申立書を提出します。
※ なお、上記3~6を行わず、事前に裁判所と相談したうえで、申立書を裁判所に提出する場合もあります(密行型)。
上記3~6を行うのは、オープン型と言って、すでに支払いが滞納していたり、債権者が来ていたりする等の場合です。
また、当然、事案に応じて、上記3~6やそのほかの対応を、上記の順序と異なる順序で行うこともあります。
8 裁判官との面接
会社の社長、経理担当者などと弁護士が裁判所に行き、破産に至った経過、資産・負債の状況、従業員、債権者、賃借物件の状況、その他の問題点について、裁判官から質問を受けます。
この時に、裁判所に納める予納金の額も決定されます。
※開始前の面接が行われない場合もあります。
9 破産開始決定
破産開始決定がされ、破産管財人が選任されます(裁判所が選任した弁護士が破産管財人になります)。
10 破産管財人との面接
会社の社長、経理担当者などと弁護士が、破産管財人の法律事務所に行き、破産管財人から質問を受けます。
11 資産の処分・配当
破産管財人のもとで、会社の資産の換価、売掛金の回収が行われ、これを債権者に配当します。会社が、一部の債権者に不公平な弁済を行っている場合は、破産管財人がこれを取り戻します。
12 債権者集会
裁判所で債権者集会が行われ、破産管財人が、破産に至った経過、資産・負債の状況、配当の状況などを説明します。ただ、出席して説明を聞いてもあまり意味がないと考える債権者の方が多く、債権者は出席しないか、数名の出席の場合が多い印象です。
配当が終了していない場合は、さらに債権者集会が開かれる場合もあります。
配当するほどの財産がない場合、配当をしないで破産手続が終結することがあります。
13 破産終結決定
これによって、破産手続きは終了し、会社は解散となります。
※ 破産申立書を提出してから、破産終結決定までにかかる時間は、不動産の処分や売掛金の回収にかかる時間、不公平な弁済の有無、配当の有無などによって異なりますが、一般的には6ヶ月~2年程度です。
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の特徴

開設以来、数多くの法人破産申立・破産管財事件・代表者破産に対応してきた弁護士法人グリーンリーフ法律事務所には、破産手続に精通した弁護士が数多く在籍し、また、法人破産専門チームも設置しています。
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危機時期にも適切なアドバイスができるかと存じますので、まずは、一度お気軽にご相談ください。