労働者派遣業とは
労働者派遣事業とは、自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることを業とすることを言います。
この労働者派遣業は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」という法律で規定されており、同法第二条に、定義規定が置かれています。
第二条
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 労働者派遣
自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする。
二 派遣労働者
事業主が雇用する労働者であつて、労働者派遣の対象となるものをいう。
三 労働者派遣事業
労働者派遣を業として行うことをいう。
四 紹介予定派遣
労働者派遣のうち、第五条第一項の許可を受けた者(以下「派遣元事業主」という。)が労働者派遣の役務の提供の開始前又は開始後に、当該労働者派遣に係る派遣労働者及び当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受ける者(第三章第四節を除き、以下「派遣先」という。)について、職業安定法その他の法律の規定による許可を受けて、又は届出をして、職業紹介を行い、又は行うことを予定してするものをいい、当該職業紹介により、当該派遣労働者が当該派遣先に雇用される旨が、当該労働者派遣の役務の提供の終了前に当該派遣労働者と当該派遣先との間で約されるものを含むものとする。
労働者派遣業の破産手続の特徴・注意点
①労働者の把握
労働者派遣業の主役は、言うまでもなく、派遣労働者です。
派遣労働者なくして労働者派遣業は成立しません。
従いまして、労働者派遣業の多くは相当多数の派遣労働者を雇用していますので、この派遣労働者を把握することが必要になります。
②派遣労働者への解雇手続き
上記の通り、派遣労働者は多数にのぼる。
その一人一人に対して、解雇の手続をすることが必要になります。
もちろん、個別に一人一人面談するという趣旨ではありませんが、すべての派遣労働者を解雇しなければいけません。
③解雇に伴う諸手続き
解雇に伴い、次の各手続きをしなければいけません。
繰り返し述べている通り、派遣労働者が多数いることが多いので、その全ての方々にこの手続きをすることが必要になります。
ア 雇用保険(失業保険)
雇用保険被保険者離職証明書と雇用保険被保険者資格喪失届を、解雇翌日から10日以内に、公共職業安定所(ハローワーク)に提出し、ハローワークから離職票の交付を受け、離職票を従業員の皆様に交付することが必要になります。
イ 健康保険
派遣労働者(従業員)から保険証を回収し、退職の日の翌日から5日以内に、保険証とともに健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届を年金事務所に提出することが必要になります。
ウ 源泉徴収票の交付
派遣労働者(従業員)が今後、確定申告や再就職先で年末調整をする場合に、会社の源泉徴収票が必要となるので、これを作成し、派遣労働者に配布することが必要になります。
エ 住民税について
派遣労働者(従業員)について、特別徴収(給与から天引きし、会社から従業員の皆様の住所地の各市区町村に納付する方法)から、普通徴収(派遣労働者自身が市区町村に直接納付する方法)に切り替得る必要があることから、各市区町村で給与所得者異動届の手続きを行うことが必要になります。
④派遣労働者の勤怠管理などの情報の管理
破産手続に伴う解雇の際に、もし派遣労働者に給与を支払うことはできなかった場合には、破産手続の中で処理(立替払い制度の利用や、破産財団からの支払い)することが必要になります。
従って、給与計算の資料を引き継ぐ必要がありますので、勤怠管理の情報などを確保することが必要になります。
派遣先の資料が必要な場合には、派遣先にも協力を求めます。
⑤派遣先との契約の処理
派遣先との間では、事業を継続できなくなるのが原則ですので、派遣先との間の契約関係を処理することが必要になります。
⑥廃止の届出
破産手続により、通常は事業を廃止することになりますので、労働者派遣事業の廃止を届け出る必要があります。
その際には、
・労働者派遣事業廃止届出書
・廃止日までの労働者派遣事業報告書‹年度報告
・廃止日までの労働者派遣事業収支決算書
・廃止日までの関係派遣先派遣割合報告書 (様式第12号-2)
の提出が必要になります。
また、
・すべての事業所の労働者派遣事業許可証 ※(旧)特定派遣事業主の場合は不要
・労働者派遣事業許可条件通知書 ※(旧)特定派遣事業主の場合は不要
・親会社・親会社の子会社等の「会社名・住所・連絡先」が記載された一覧表
の添付が必要とされています。
この廃止届出は、事業廃止後10日以内に、事業主を管轄する労働局宛に提出する必要があります。
法人破産の流れ
1 ご相談
会社の社長などにご来所いただき、弁護士が、会社の経営状態、資産・負債の内容をお聞きするとともに、どのような手続を取るのがよいのかのアドバイスを行います。
2 お打ち合わせ①
必要書類・資料をお持ちいただき、弁護士、法務スタッフが、社長、経理担当者の方などと詳しい打合せを行います。また、裁判所に提出する委任状、当事務所にご依頼いただく場合の委任契約書を作成します。
資料の例:貸借対照表・損益計算書、資産目録、債権者・債務者一覧表、不動産登記簿謄本、賃貸借契約書、預貯金通帳、法人印鑑・ゴム印など
3 現地の調査・従業員に対する説明
・現地調査
本社、営業所、工場などに出向き、現地の状況を調査するとともに、場合によっては弁護士が受任した旨の公示書を貼ります。
・従業員への説明
従業員に対して、破産申立てに至った理由を説明し、在庫などの資産や帳簿類の保全への協力、破産管財人への協力を要請します。
給与、健康保険の切り替え、年金の処理、失業保険受給のための離職票の発行などについても、きちんと説明します。
4 受任通知の発送
以後は、弁護士が債権者との対応をすることになります。
5 お打ち合わせ②
ご依頼を受けた後、弁護士が裁判所に提出する破産申立書を作成しますが、その中で出てきた不明点の聞き取り、不足・不十分な書類の補充などのための打合せを行います。
6 賃貸物件の明け渡し
賃借物件がある場合、状況によって破産開始決定前に明渡しを行います。
7 裁判所に対する破産申立書の提出
裁判所に対して、破産申立書を提出します。
※ なお、上記3~6を行わず、事前に裁判所と相談したうえで、申立書を裁判所に提出する場合もあります(密行型)。
上記3~6を行うのは、オープン型と言って、すでに支払いが滞納していたり、債権者が来ていたりする等の場合です。
また、当然、事案に応じて、上記3~6やそのほかの対応を、上記の順序と異なる順序で行うこともあります。
8 裁判官との面接
会社の社長、経理担当者などと弁護士が裁判所に行き、破産に至った経過、資産・負債の状況、従業員、債権者、賃借物件の状況、その他の問題点について、裁判官から質問を受けます。
この時に、裁判所に納める予納金の額も決定されます。
※開始前の面接が行われない場合もあります。
9 破産開始決定
破産開始決定がされ、破産管財人が選任されます(裁判所が選任した弁護士が破産管財人になります)。
10 破産管財人との面接
会社の社長、経理担当者などと弁護士が、破産管財人の法律事務所に行き、破産管財人から質問を受けます。
11 資産の処分・配当
破産管財人のもとで、会社の資産の換価、売掛金の回収が行われ、これを債権者に配当します。会社が、一部の債権者に不公平な弁済を行っている場合は、破産管財人がこれを取り戻します。
12 債権者集会
裁判所で債権者集会が行われ、破産管財人が、破産に至った経過、資産・負債の状況、配当の状況などを説明します。ただ、出席して説明を聞いてもあまり意味がないと考える債権者の方が多く、債権者は出席しないか、数名の出席の場合が多い印象です。
配当が終了していない場合は、さらに債権者集会が開かれる場合もあります。
配当するほどの財産がない場合、配当をしないで破産手続が終結することがあります。
13 破産終結決定
これによって、破産手続きは終了し、会社は解散となります。
※ 破産申立書を提出してから、破産終結決定までにかかる時間は、不動産の処分や売掛金の回収にかかる時間、不公平な弁済の有無、配当の有無などによって異なりますが、一般的には6ヶ月~2年程度です。
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の特徴
開設以来、数多くの法人破産申立・破産管財事件・代表者破産に対応してきた弁護士法人グリーンリーフ法律事務所には、破産手続に精通した弁護士が数多く在籍し、また、法人破産専門チームも設置しています。
このように、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所・法人破産専門チームの弁護士は、破産手続や代表者保証に関する法律相談を日々研究しておりますので、法人破産や代表者の債務整理に関して、自信を持って対応できます。
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弁護士法人グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、多数の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。
社の破産においても、専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。
危機時期にも適切なアドバイスができるかと存じますので、まずは、一度お気軽にご相談ください。