会社を再建する方法として民事再生手続があり、会社を清算する方法として、破産手続特別清算任意整理があります。

再建の困難性

会社を再建したい、関係者に迷惑をかけたくないというのは、社長の偽らざる気持ちですが、民事再生手続を使って会社を再建するためには、会社の本業では利益が出ているのに、余計な事業に手を出したために全体として赤字になってしまっている、赤字の部門を整理すれば利益が出る、というような条件が必要で、中小企業が経済的に行き詰った場合、このような条件に当てはまるのはごく少数です。

破産手続の公正性

会社の清算をするには、上記のとおり、破産手続、特別清算、任意整理の方法がありますが、実際には、ほとんどの場合に破産手続を選択します

破産手続を選択した場合、裁判所が破産管財人を選任し、破産管財人は、法律に従って会社を清算し、配当を行いますし、財産隠しなどの不正行為があれば、その不正行為を追求します。

すべて法律に従って公正に行われますから、債権者も安心でき、破産した会社の社長も、変に疑われて、債権者から責められるということがありません。

この点、任意整理ですと、裁判所や破産管財人が関与することなく、すべて社長と(社長の選任した)弁護士が行いますから、財産隠しがあってもチェックすることができず、債権者の協力を得ることも難しいですし、債権者の、社長に対する不満、クレームも大きくなります。

また、特別清算ですが、債権者集会において出席債権者の過半数及び総債権額の3分の2以上の同意を得て協定案が可決される必要があります。
債権者の数が少ない場合はよいですが、債権者の数が多い一般的なケースでは、特別清算の手続をとることはなかなか難しいと言ってよいでしょう。