会社の概要
中古自動車の流通業界に長年携わった代表者が経営する会社(資本金400万)の破産案件でした。いわゆる家族経営でしたが,会社の負債総額は9000万円に上りました。
リーマンショックの頃から徐々に業界全体が不況となり,自動車の登録台数が顕著に減少する中,中古自動車の利幅も落ち,経営を続けることが困難となりました。借入れを増やして経営を続けることは考えられましたが,抜本的に業態を変えることもできず,限界を感じたため,破産手続に移行することとなりました。

破産手続とその結末
営業を行っていた店舗(借りていた店舗)については,同業者に適正に承継させ,ユーザーとの間で無用な混乱が生じることを避けました。その結果,破産手続において,残った自動車の換価等を破産管財人に委ねることになりましたが,特別に余計な手間暇をかけさせることなく,破産手続は無事終了しました。

本事案に学ぶこと
法人破産は,初動がとても大切です。Xデー(破産の方針を表明する日)前に,従業員や債権者に勘づかれた場合には,無用な混乱を招くことにもなりかねません。
本事案では,破産手続を受任する前に,綿密な打合せを実施し,Xデー以降の段取りを明確にしていたことから,従業員や債権者対応において,特に無用な混乱は起きず,財産の散逸もありませんでした。また,受任後,1カ月以内に申し立てたため,円滑に破産管財人に資料・財産を引き継ぐことができました。