事案の概要
パン屋を営んでいたが徐々に売上げが低迷していき、コンサルタントを入れたが改善しなかった、コンサルタントに債務整理を任せ自身は紹介された職場で働いていたが賃金未払い等が発生し債務整理も頓挫してしまった、転居・転職を経て債務整理を行う余力ができたため破産手続申立てに至った、という事案について破産管財人に選任されました。
主な管財業務の内容
会社については事業停止から時間が経っていたため、コンサルタントに問合せを行いましたが資料も十分に残っておらず、換価すべき財産もほとんど存在しないという状態でした。
代表者の未払賃金については発生から2年以上が経過していたため回収は困難と判断しました。また、代表者は破産手続申立ての前年に労災事故に遭い、労災給付金が預金口座に多く残っている状況でしたが、労働能力喪失の補填等の労災給付の性質から全額について自由財産拡張を認めました。
本事例の結末
会社については予納金以上の財産が存在しなかったため、配当には至らず、破産手続廃止となりました。
代表者についても配当には至らず破産手続廃止となり、免責手続では免責不許可事由の意見を提出しました。
本事例に学ぶこと
今回のケースは会社の会計帳簿等を第三者が所持しているという珍しいケースでしたが、そのような場合、会社の内情把握に時間がかかりますので、法人の破産手続申立ての際には可能な限り会計帳簿等財産関係書類を揃えてから行うということが望ましい対応といえます。