紛争の内容
同一の代表者が2つの法人を経営していました。
1社はキッチン工事業で、負債総額3,700万円。もう1社は雑貨の販売業で、負債総額1,400万円。
いずれもリーマンショック以降の経営不振が原因で売上が伸びず、支払い不能に。
代表者自身も法人2社の連帯保証債務などで、5,000万円超の負債がありました。
また、経理の方が行方をくらませてしまい、今後どう見積もっても借りたお金を返済できないという事案でした。
交渉・調停・訴訟などの経過
最後の売掛金から、弁護士費用、管財人費用等をご準備いただき、法人2社と代表者個人の3件で同時に破産の手続きをとりました。
法人のうち1社が借りていたショールームは、もと従業員の方がそこで同種の商売を始めるということで、賃貸人の同意を得て賃貸借契約を引き継ぐとともに、売れそうにない一部備品についてもそのまま引き取ってもらうことにしました。
本事例の結末
法人2社、代表者ともに破産終了(代表者については免責許可)。
法人のうち1社には在庫があり、在庫品の売却により多少換価ができたため、債権者に少額ながら配当をした上で破産をすることができました。
代表者は自宅に設定されていた抵当権が実行された結果、転居を余儀なくされたものの、家族の協力もあって落ち着いた生活を取り戻すことができました。
本事例に学ぶこと
債権者には借りたお金を全額返済することはできず、また代表者の方も破産をしなければならなくなり、大変お辛かったものと思います。
しかし、このままだと危ないと思った段階で破産の選択をしていただいたため、一部配当をすることができ、会社を無事にたたむことができました。
「返済不能となりそうだ」、「このまま経営をすることは困難ではないか」と判断された際は、お早目に弁護士にご相談されることをおすすめします。
弁護士 田中 智美