紛争の内容
平成21年創業の、太陽光パネルの販売、半導体検査装置の各販売会社の破産。
シリコン製造の親会社が外資企業に買収されたのを機に、取引先などの追加出資を受けて独立した企業でした。
東北の震災後、国の太陽光発電事業へのテコ入れがあったが、競業企業との競争力がなく、業務を縮小せざるを得なかったようです。
第6世代向けの外国製半導体検査装置の販売活動も、当時は国の支援もなく、大手企業も開発の必要性を認めるも、積極的な投資を行わず、販売も低迷しました。
数年前から、事実上事業廃止状態でした。ただ、代表者の連帯保証債務については、自身の収入から完済しました。
しかし、令和3年に至ると、大口債権者からの借入金の返済期限が迫るも、資金繰りはかなえられなかった。
そこで、弁護士に相談し、破産申立てをすることとした。
代表者は連帯保証債務を完済しており、法人のみの破産申立となりました。
交渉・調停・訴訟などの経過
在庫のソーラーパネルの処分を管財人に委ねました。
廃棄処分費用は予納金では不足するためです。
管財人は売却先を確保し、換価修了は終了しました。
しかし、配当に回すほどの、財団は形成できませんでした。
本事例の結末
手続費用を賄えないとして、異時廃止として、終了しました。
本事例に学ぶこと
代表者は、自宅マンションを確保するために、連帯保証債務を完済してからの相談、受任となりました。
事実上廃業するときに、住宅ローン特則付個人再生も選択の余地があったようですが、月々返済額は代表者の収入で賄えるため、債務整理はしませんでした。
廃業した法人の破産申立のタイミングは諸事情に照らして決定することになります。弁護士にご相談ください。
弁護士 榎本 誉