紛争の内容
依頼会社は通信インフラを事業とする会社でしたが、新型コロナウイルス感染症流行による新規顧客の減少を原因として売上が減少し、金融機関からの借入金の返済や、滞納税金・社会保険料の支払いを行うことが見込めなくなりました。そこで、私たちに破産手続開始申立てを依頼するに至りました。

交渉・調停・訴訟等の経過
依頼会社は、長期にわたり税金・社会保険料の滞納をしてしまっていました。相談時には手許現金がほとんどなく、これから入ってくる売掛金をもって、管財予納金の確保をする必要がありました。公租公課については、他の債権とは異なり、訴訟・強制執行という順を踏まずに、国税徴収法に基づき直ちに差し押さえをすることができてしまいます。そこで、売掛金債権の差押えをされないよう、密行して迅速に破産手続きの申立てを行いました。また、並行して、従業員の未払給与に対応するべく、未払賃金立替制度を利用するべく手続きをすすめていきました。

本事例の結末
結果として、公租公課による売掛金債権の差押えがなされる前に、裁判所から破産手続開始決定を得ることができ、スムーズな手続きを行うことができました。

本事例に学ぶこと
公租公課を滞納している場合、すぐにでも会社の財産を差し押さえられることで、破産手続きに支障が出るケースが散見されます。このような場合には、破産をしようとしている情報が漏れないよう、早急に破産手続の開始決定を得ることで、確実で少しでも多くの破産財団形成に務めることが肝要になります。
破産をするにも、どうしてもお金が必要になります。債権者のためにも、特に従業員のためにも、まずは早い段階であっても弁護士に相談することを強くおすすめします。

弁護士 申景秀・弁護士 平栗丈嗣