紛争の内容

精密機械の製造業を営む会社から法人破産のご依頼をいただきました。
この会社は、新型コロナウイルスの影響を受けて、業績が悪化し、資金繰りが苦しくなりました。
破産手続において問題となりそうだったのは、この会社が一般的に市場価値がないと思われる在庫商品をいくつか抱えていた点です。
これらの在庫について、社長から詳細に事情を聴き取り、その点を報告書にまとめ、法人破産申立を行いました。

交渉・調停・訴訟等の経過

裁判所より、破産管財人が選任されました。
破産管財人も当方と同じ認識を有しており、管財人面談では、在庫の内容や保管状況、買い取ってくれそうな人物等について聴き取りが行われました。
社長の知人に買い取ってくれそうな人物がいたため、破産管財人がその人物とやり取りをすることとなりました。

本事例の結末

破産管財人が社長の知人に連絡をとり、知人に在庫商品の一部を買い取ってもらうことができました。
在庫商品の一部は、財産的な価値がなく、買取も難しかったため、会社の財産から放棄することとされました。
会社の財産関係がこのように整理できたため、会社の破産決定が出されました。

本事例に学ぶこと

破産を検討している会社は、市場価値のない在庫商品を抱えていることがあります。
会社の破産では、原則として、会社が持っている財産をすべてお金に換えることが求められますが、市場価値のない在庫商品の場合はそれも難しい場合があります。
本件でも、市場価値のないことが見込まれる在庫商品がいくつかありましたので、できる限り詳細に事情を説明し、破産管財人に協力することで、財産を整理することができ、破産が認められました。

弁護士 権田 健一郎