紛争の内容
甲社は、WEB事業と雑貨の製造販売事業を運営していました。
WEBは、ホームページ製作等を委託しており、製造販売は、中国や日本で、モバイルバッテリーや健康食品を製造して、自社サイト等で販売していました。
7年前くらいには、それなりに売上も上がっていたところ、中国工場の不安定さや、コロナ禍により、製造事業の継続が困難になりました。
中国の工場も閉鎖され、委託金等の回収も不能になり、不良在庫も残ってしまい、とうとう月々の返済をするほどの売上があがらなくなりました。
そこで、手元資金もなく、打開策がなくなってしまったということで、社長が破産を決意しました。
また、社長は、政策金融公庫や銀行借り入れの連帯保証人でしたので、同時に破産しました。

交渉・調停・訴訟等の経過
受任から1ヶ月、しっかりと準備をして、拠点の明渡、売掛金の回収等を経て、さいたま地方裁判所に法人破産および個人破産の申立をしました。
管財人に調査を受けましたが、破産者の資産は特になく、会社も営業は終了していたので、大きな問題なく、事件は終了しました。
社長は、自由財産として99万円までの財産を手元に残して破産ができました。

本事例の結末
第1回で異事廃止。
個人は免責許可。

本事例に学ぶこと
法人破産の場合は事前にしっかり整理して申立てることが重要です。
資産がない場合は、1回目の集会で終了になることも珍しくはありません。
個人破産の場合は99万円の財産を残せます。

弁護士 申 景秀