法人破産の原因
機械部品の製造・卸売業を営んでいましたが、景気減速などの影響から資金繰りが厳しくなり、借入金融機関に利息しか返済できなくなりました。
金融機関への返済のため、製造部門を廃止して会社建物の敷地を売却し、卸売業のみに事業を縮小しようとしましたが、土壌汚染が発覚しました。
浄化作業には、4000万円程度の費用を要し、これにより、敷地売却による金融機関への返済計画が頓挫したことが破産の原因になります。
負債総額は約1億3000万円でした。
破産申立までに行ったこと
製造の仕掛業務が残っており、事業停止を決断した後にも注文が来ていました。そこで、事業を停止する時期、及び、取引先に代わりの業者を紹介する手続きについて打ち合わせをしました。
また、買掛金債務について、代金未了のまま受け取った商品がないか確認をしました。(商品があれば、代金を回収できない売主のために商品の保管をしておかなければなりません。)
裁判所に納める予納金を確保する目的と、債権者への配当にまわす会社の財産を保全する目的のため、会社に残った200万円近い現金、車の鍵などを全て弁護士が預かりました。
破産申立後の流れ
取引先から今後の取引はどこに頼めばよいのか問い合わせがありましたので、事前の打ち合わせの通りに別の業者を紹介しました。
一部の債権者から、倒産が予想できたのに会社が取引を続けたために、代金が回収できなくなったというクレームがありました。そこで、債権者集会において、土壌汚染が発覚する前には会社の倒産を予測できなかった旨を、会計資料を踏まえて説明した報告書を裁判所に提出しました。
その他(苦労した点など)
直前まで営業を続けていた会社の事業を停止させるということで、取引先の混乱を抑える作業が最も苦労しました。
また、本件では破産申立前に現金が残されていたため、苦労しませんでしたが、負債額1億3000万円の破産ということで、裁判所に納める予納金が100万円近くになりました。